シンプルに幸せになる暮らしのメソッド
リネンとおいしい時間

コーディネートとおもてなしのメソッド vol.2

May, 2017

 

今回は、フードスタイリスト、料理研究家として、テレビや雑誌で活躍されている野口英世さんにお話をお聞きしています。前回に引き続き第二話では、気軽にできるおもてなしや、お気に入りの器についてご紹介します。

普段、広告や雑誌のお仕事で作り込んだ料理や空間を作ることが多い野口さんは、ご自身の暮らしこそシンプルに、削ぎ落としたものでありたいと考えているそうです。では、実際にどのようなところに気を使い、どのようなところをシンプルに考えているのか、簡単な自宅でのおもてなしを例に見ていきましょう。


シンプルに幸せになる暮らしのメソッド

 

―― 無理や無駄のない家事を考えるきっかけ

野口さんのお仕事の中で代表的なものは、食品メーカーのレシピ制作や国内外企業の広告ビジュアルのフードスタイリングです。その他にも、ご自身の経験を活かした時短レシピの開発、以前からライフワークとして集めていたキッチングッズ等に関する情報をまとめた書籍の執筆、テレビやラジオ、雑誌などのメディア出演など、多方面に渡りご活躍されています。

そんな野口さんですが、いまのお仕事をされる前は、法律事務所でバリバリ働いていました。

「あのころは通勤時間が長くて、毎日へとへとになりながら通勤していました。新婚だった事もあり、ちゃんとご飯を作らなきゃ、と頑張っていました。帰りの電車の中で料理のシミュレーションをしながら、“この部分は端折っても大丈夫” と無理や無駄を省く家事を自然と考えるようになりました。」
サイトに載せた時短レシピがメディアの方の目にとまり、自然と今の仕事につながったそうです。

 


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―― 食材は旬のもの、調味料でこころづかい

「なるべく日常もおもてなしも垣根を設けないようにしています。器も使い分けると疲れてしまうし、自分も楽しめないとゲストにも気を使わせてしまいますよね。 時には準備の時間を楽しみながら、手間のかかったお料理でもてなすのも素敵なことです。でも忙しい合間に皆が時間を作って集まるのなら、レストランのようなサービスを再現するのではなく、いつもより少しだけ良い調味料を使い、旬の素材をささっと調理する。料理の仕上げはゲストがそろってから、そんなライブ感もおいしい時間につながります。」

今回は、実際に旬の食材を使ったメニューを作って頂きました。



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「グリンピースとシラスのごはん」

ちょっぴり塩を加えたグリンピースの茹で汁で炊いたご飯に、たっぷりの釜揚げシラスと針生姜、ゆでたグリーンピースを混ぜます。炊きあがり後にグリンピースを混ぜ込むことで、グリンピースそのものもおいしく味わえ、見た目も鮮やかで綺麗に仕上がります。旬の桜エビでも可愛らしく美味しくできます。

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「ローズマリーと手羽先のグリル」

前日の夜に、鶏手羽先をフォークでピケして(満遍なくさす)、オリーブオイル、塩(気持ち強めにすりこむ)、レモン汁、ローズマリーでマリネします。
当日の調理は、200度のオーブンに入れて20〜30分焼くだけ。焼き上がるまでゆっくり話をしたり、お酒を飲んで待っていられるので、ゲストもホストも楽しめるお手軽料理です。

モモ肉を使っても十分美味しいですが、おもてなしの時は立体感のある食べ物の方が映えるので、手羽先を選びました。また、包丁を使わなくてすむ料理は時短につながります。あまり手をかけすぎない料理がレパートリーの中にあると、おもてなしが楽になります。

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「鯛のこぶじめと日向夏のサラダ」

前日に昆布締めしておいた鯛と、旬の野菜と果物を使ったサラダです。見た目にも軽やかな色合いにしたかったので、春の食材からウドと日向夏を入れてみました。こちらに粒マスタード、白バルサミコ酢、蜂蜜、塩、オリーブオイルを混ぜ合わせたハニーバルサミコドレッシングをかけていただきます。深さのあるガラスの器に盛りつければ、爽やかな一品に。

 



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―― 本当に使える器の選び方

お仕事でも様々な器を使っていらっしゃる野口さんに、実際に愛用している器を見せて頂きました。 前回ご紹介したように、野口さんが器を選ぶ基準として、“ひとつの器からたくさんの料理がイメージできるか”というポイントがあります。
「器を買うときには、イメージがすごい湧くものを買うのが良いですよ。あれもこれものせたいと思えたら買いです。」
自分の好きなテイストを熟知していらっしゃる野口さんが選ぶ、本当に使える器を見ていきましょう。

 

a. グレーのオーバル皿(田中直純さん作)27.5センチ×14.5センチ

白皿の次に色皿を取り入れたい方には、グレーのお皿をおすすめします。
淡めのグレーは白の延長で使えるのがポイントです。いつもの白いお皿を使うように何を盛っても大丈夫。一口大の手まり寿司や数種の前菜、スライスしたパウンドケーキを並べたり、時としてデザートと小さいカップをのせたトレイづかいもあり。どんなものも素敵に見せてくれる万能選手です。丸皿の次に四角い皿を買われる方が多いのですが、オーバルのお皿はどの向きに置いても馴染むのでテーブルコーディネートも楽です。


b. スープ色皿(Jars) 直径19.5センチ・深さ5センチ

どんぶり、パスタ、サラダ、マリネ、デザートと万能で、料理が映える翡翠色のスープ皿、浅鉢です。意外にありそうでない深さとサイズが秀逸です。 普段の食事は和食中心なので、器は和でも洋でも使えるものを選んでいます。 中でも「Jars」は洋皿ですが、和にも馴染む形と色合いで便利。気に入っています。


c. ターコイズブルーのオーバル小皿(木村香菜子さん作)17センチ×12.5センチ

経験則から青いお皿に赤いものをのせると目を奪われる方が多いよう。色の強い皿は面積が大きくなればなるほど難しいので、 なるべく小皿からアクセントで取り入れると良いでしょう。ぱっと目をひくターコイズブルーの皿が1枚入るだけでもテーブルはいきいきとします。夏の冷たい麺をいただく際、数種の薬味をたっぷり盛り付けて。豆大福や栗羊羹など普段のおやつも華やかに。いちごやプラムなど赤いフルーツは言わずもがな。ゲスト受けのいい小皿です。


d. 白いカップ(若杉聖子さん作)直径8センチ・高さ6センチ

10年来集めている作家さんのフリーカップ。凛とした雰囲気が好みです。このカップは口当たりが良く、フィットする感覚が気に入っています。 甘酒やコーヒーをいただいくととてもおいしいです。飲み物の他にも、季節野菜の白和えやフルーツヨーグルトなど盛り付け、器づかいにも。時には短い丈になった花を飾ることもあります。


e. 墨黒の皿(一柳京子さん作)直径21.5センチ・高さ3.5センチ

リムが若干立ち上がっているので、リムとして感じずに、非常に盛りやすいお皿です。 オイルやクリームベースのパスタ、彩りある雑穀サラダ、魚の煮付けなど、器とコントラストを楽しめるメニューで用いています。
他の皿とのバランスもありますが、黒すぎるお皿はテーブルのその箇所が重くなりがち。真っ黒じゃない“墨黒”を選んだ方が取り入れやすく、手持ちの白やグレーの皿と馴染みます。テーブルウェアに墨黒が入ってくると、こなれ感、大人っぽい雰囲気がプラスできるので重宝します。


シンプルに幸せになる暮らしのメソッド
 

―― ものに助けられて成長していく

最後に、野口さんの“もの”への考え方について伺いました。

「ちょっと良いなと思うものを背伸びしてでも使うことで、自分でその背伸びに慣れてくるから、それが自分の身の丈になってくる感覚ってあると思います。ものに助けられて成長していく感じでしょうか。それは、道具も同じだと思います。切れ味が良い包丁を使うことで、 味に雑味がなくなり、出来上がりのおいしさが違ってきます。食べてくれる人もおいしいと喜んでくれることでモチベーションも上がるんですよね。
 高いものを買いなさいということではないですが、そうありたいと思ったら、なるべくそれに相応しいものを選んでいくだけで、人生は大きく変わるのではないかと思います。」

 

いかがでしたでしょうか。気持ちよくシンプルに過ごすためのヒントが見つかったでしょうか。
忙しい毎日のなかで、自分を見つめる時間をとるのはなかなか難しいですが、一度立ち止まって選択することの大切さを教えていただきました。そんな野口さんも、自分の暮らしをオーガナイズするまでには、本当にたくさんの失敗をして散財したのだと、笑いながら話してくださいました。自分の暮らしは自分が主人公。コラムを読んで下さった皆さまの日々の選択が、少しでも楽しくクリアになれば嬉しいです。




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野口英世
フードスタイリスト
料理研究家
近著は誠文堂新光社「使いやすい台所道具には理由がある」など。
http://www.simple-minimum.com
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